やっとメジャーマスコミから「京都議定書」を神話として扱わない記事が出た気がする。


【主張】温室ガス中期目標 実現可能な数値にしたい - MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090508/erp0905080342000-n1.htm


二酸化炭素に代表される温室効果ガスの排出を日本は2020年までにどれだけ減らすのか。

 この「中期目標」の決定作業が国民の意見を募りながら進められている。今後10年間の日本の経済活動を左右し、国民の日常生活とも深くかかわる事柄だ。一人一人がしっかり考えなければならないテーマである。

 現在の世界の地球温暖化防止への取り組みは、2012年まで有効な京都議定書に基づいて行われている。今年12月にはデンマークでの締約国会議で、ポスト京都の国際枠組みが決まる。

 中期目標は、次期枠組みについての事前交渉の場で重要な意味を持つとともに、2050年という今世紀半ばの「長期目標」を確実なものにするための道標という性格も備えている。

 日本の中期目標策定にあたっては、専門家による政府の委員会で経済モデルなどを踏まえた討議が重ねられてきた。そうして6つの選択肢が示された。

 2005年の排出量を基準として比較すると、温室効果ガス「4%減」から「30%減」までの6ケースだ。日本としては、この選択肢の中で、最もゆるやかな4%減を中期目標とすべきだろう。現在行われている削減努力を継続するのが、この選択肢だ。

 欧州連合(EU)と比べて削減率が低いという意見もあろう。温暖化防止が急務であることに異論はない。そのためには二酸化炭素の排出削減が必要だが、肝要なのはその進め方である。

 地球温暖化が問題になる前から省エネに取り組んできた日本は、もともと排出量が少ない。世界全体の4%にすぎないのだ。生活の不便に耐え、景気を悪化させて25%削減を達成しても、世界全体ではわずか1%が減るだけだ。

 それよりも技術協力で世界に貢献すべきである。化石燃料を使う途上国の火力発電所の効率を、日本のメンテナンス技術で向上させれば、地球規模での大幅改善につながる。

 日本政府は、交渉の場で4%減の中期目標を示し、堂々と論拠と理想を述べればよい。それでこそ地球温暖化防止への取り組みで世界のリーダーシップが取れるというものだ。削減余地の大きな米国や中国などとは事情が異なる。

 削減率の安易な受け入れで、大きな負担を抱え込んだ京都議定書の二の舞いは避けたい。